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津家庭裁判所伊勢支部 昭和43年(家)37号 審判 1968年2月17日

申立人 宮本悦子(仮名)

主文

本籍三重県鳥羽市○○町七四八番地筆頭者宮本英一郎の戸籍中、二女悦子の身分事項欄中の金慶基との婚姻事項の記載を消除することを許可する。

理由

本件申立の要旨は、申立人は昭和二八年一二月四日申立外朝鮮慶尚南道泗川郡○○面○○○二九七番地金慶基との婚姻届を宇治山田市長に提出し受理されたが、最近において右金慶基の戸籍謄本を取寄せたところ、同人には当時すでに文京華という正式の妻のあることが判明した。そうすると、申立人と金慶基との婚姻は重婚となり、当然無効であるから、申立人の戸籍中右金慶基との婚姻事項の記載の消除を許可する旨の審判を求めるというのである。そこで案ずるに、申立人および金慶基に対する審問の結果と筆頭者宮本英一郎、戸主金昌徳の各戸籍謄本を総合すると、前記申立の要旨に符合する事実が認められる。そうして、婚姻の成立要件は、法例第一二条第一項の規定により、各当事者についてその本国法によるべきであるところ右婚姻届出当時における朝鮮の慣習によれば、重婚は当然無効であるから、本件の婚姻も無効であることが明らかである。

よつて、戸籍法第一一四条により、主文のとおり審判する。

(家事審判官 濱田盛十)

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